娘が産まれてもう17年になる。
2410gの小さな赤ちゃんだった。
小さくて、まるで小鳥のようで。
ちょっと気になっていた両方の足の形は『内反足』という先天性の障害だった。
1歳を過ぎて手術をしたけど「歩けないかもしれません」という医者の言葉に絶句した。
ギブスをして1年。装具を付けて数年。
保育園の運動会で、かけっこしてる姿を見て、人目もはばからず泣いたのが、昨日のようだ。
年長さんになると「走るのが遅くて恥ずかしい」だなんて言ったけど、君は奇跡なんだよ。
小学生のころには、毎日重いランドセルを背負って歩いて登校したね。
他の人より足が細いと気になりだした中学校では念願の部活動。
障害のせいで筋力が弱くて、どうしても1歩目のパワーが弱い。
それを分かっていて、テニスを頑張り通した3年間。
「足の事なんて気にならない」「試合に出てみたい」
負けん気の強さは、お母さん譲りかな。
最後の大会も1回戦で負けてしまったけど、やっぱり奇跡なんだよ。
悔しくて泣いてる君が誇らしかった。
中学を卒業し2年が経った。もう高校2年生。
彼氏が出来たんだって?
言われる前から気づいてたけどね。
この間まで、僕にべったりだったくせに。
最近まで、どこにでも後をついてきて一緒に出掛けてたくせに。
そんな君が自分の部屋から居間に降りてこなくなって、楽しそうに誰かと携帯で話しているんだもの。
気づかないはずないじゃない。
多感な時期に、お母さんと離れて暮らすことになったのは、本当に申し訳ないと思ってる。
そして、お母さんを責めるようなことはしなくていい。
いずれ理解できる時が来るから。
この間、僕は平日なのに朝まで飲んで帰ってきた。
君が身支度をしている、早朝に帰ってきた。
そして君は言ったよね。僕にとって奇跡の君が。
「今、帰ってきたの?」
「会社はどうするの?」
「馬鹿じゃないの」
大丈夫。君もしっかり大人になりつつある。
僕を、お父さんを、しっかり叱ってくれるのだから。
信頼してるよ、君の事は。立派な女性になるってね。
だから君に1つお願いがある。
頼むからインスタに彼氏とのキス動画を上げるのは止めてくれ!!
少しでも、誰かの心に響けたら!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。