映画やドラマを見ると、人を殴るシーンがあったりします。ストーリー展開に任せて、何気なく暴力的なシーンをやり過ごしていました。
そんなシーンを思い出して「ムカついたからといって、こんなに簡単に人を殴って大丈夫なのだろうか?」なんて、冷静に考えてみたりもします。
現実社会に生きる僕らは、理不尽な思いをすることもしばしばで、腹立たしく思いながらもグッとこらえる時がたまにあったりしませんか?僕は一年に一度ぐらいは「あぁ~殴ってやりてぇ」って思ってしまう場面に遭遇します。
じゃぁ、本当に殴ってしまったらどうなるのか?本当に警察につかまるのか?ちょっと調べてみました。その結果、勉強になったので簡単にまとめてみます。
※僕は法律の専門家ではありません。あくまでネットで調べられる範囲の内容です。
●暴行罪と傷害罪がある
暴行罪とは『有形力を行使』したときに成立する犯罪です。殴る、蹴る、それだけでなく怒鳴りつけたり、水を掛けたり、衣服を引っ張っても成立する可能性があるみたい。
暴行罪の刑罰は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または、拘留もしくは科料です。
※『拘留』とは、刑期が30日未満で強制労働の無いもの。
『科料』とは、1万円未満の金銭支払いをいう。
傷害罪とは、他人に対して暴行を振るい『傷害』した場合のこと。傷害とは、『人の生理的機能を害すること』です。怪我をさせたらもちろん障害ですし、なんと!精神疾患(鬱など)の原因となった場合や、感染症にかからせた場合などにも『傷害』となるらしいです。肉体的な傷だけでなく、精神的な傷に対しても成立してしまうのです。
傷害罪の刑罰は、15年以下の懲役または、50万円以下の罰金刑。拘留や科料はありません。
注意しなければならないのが、傷害罪は過失によっても成立するってこと。間違って高所から物を落とし、それがたまたま下にいた人に当たって怪我をさせた場合でも成立してしまう。故意ではないのにです。ただし、過失傷害の場合には刑が軽いみたい。
●暴行と傷害の違い
これは簡単です。暴力を振るっても、相手が無傷なら暴行罪。怪我をしてしまったら傷害罪になります。
実際に人を殴ってしまったら、無傷なわけがありません。殴ってしまった時点で、勢いの付いた拳が触れた時点で傷害罪確定ですね。
●逮捕されたら前科一犯になるのか
そもそも『前科』とは何でしょう。有罪判決により刑が言い渡された事実を言います。これに似た言葉で『前歴』というのがありますが、これは警察や検察などの捜査機関により被疑者として捜査の対象になった事実を指し示すようです。
上記の事柄から、逮捕されただけでは前科は付かず、裁判等により有罪が確定した時点で前科一犯になるようです。ちなみに有罪を二回受けたら前科二犯になり、数字がどんどん増えていきます。めったにいないでしょうが。
●前科一犯になったら、生活に支障がでるのか
前科者の情報は検察庁、警察庁、市区町村の3カ所の機関で保管されるようです。特に注意が必要なのが市区町村で管理される『犯罪者名簿』です。これは国家資格取得時などに参照されます。国家試験の受験申込の時に調べられるのではないでしょうか。資格取得後も前科が付くとはく奪される場合もあるようです。僕は建築士と施工管理技士の国家資格を取得していますが、前科が付くとはく奪されるはずです。
ただし、このような機関が個人情報である犯罪歴を一般に公開したりしません。前科者であることが知られるのは、知人や友人もしくはインターネットなどからでしょう。
就職時に前科歴があることを申告する義務もありません。ただし、後に知られて解雇になったりする場合もあるようです。
このように、仕事をするうえで支障が出る場合があります。
●被害者が警察に申し出ないと捜査されない
喧嘩した場合、どちらもエキサイトし互いに殴り合ってしまえば、両者に対しても暴行罪や傷害罪が成立します。喧嘩両成敗とはならないようです。
喧嘩だけではありませんが、被害者として警察に届け出ないと捜査が行われないので立件されることもなく犯罪に問われることもありません。被害にあった場合には届け出が必要です。公衆の面前で暴行行為などを行い、警察を呼ばれてしまえば現行犯として逮捕されるでしょう。
●第三者行為では健康保険が使えない
殴った相手が怪我をした場合、怪我をした方は病院に行くでしょう。このとき喧嘩等による第三者行為では、国民健康保険の適用ができなくなります。加害者が全額負担するのです。
ご存じの通り普通の通院だと国民健康保険の適用により、自己負担は3割です。しかし喧嘩等の行為で通院した場合、保険の適用が認められず10割が請求されます。加害者が医療費10割を負担するのです。
少し詳しく解説すると、喧嘩等で怪我を負い通院した時に、窓口で第三者行為による怪我であることを申告します。緊急性の無い場合には、事前に健康保険組合などに届け出をして、健康保険を利用した受診を申し込みます。医療機関に3割の自己負担分を支払い、後に加害者に損害賠償として請求します。医療機関は健康保険に7割分の医療費を請求し、健康保険は7割分の医療費を立替え払いします。その後、健康保険は加害者に対し、立て替えた7割分の医療費を請求します。
結果的に怪我を負わせた加害者側は、医療費の全額である10割を支払うことになります。
●まとめ
人を殴ったらどうなるかご理解いただけたでしょうか。僕はここまで具体的に知ったのは初めてです。ムカついたからといって相手を殴ってしまったら、犯罪行為であることはおろか、怪我をさせた場合には、多額の金額を支払わなければならないわけです。
殴った相手が骨折し手術などになったら・・・・医療費の10割ですよ・・・・100万円単位のお金が必要になります。
カッとなっても殴ったりしてはいけません。自分が損をするだけです。
※僕は法律の専門家ではありません。あくまでネットで調べられる範囲の内容です。
少しでも誰かの心に響けたら!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。